絶叫委員会

絶叫委員会

この本、めちゃくちゃ面白いです。
現代を代表する歌人穂村弘さんの心を打った言葉の数々が書かれています。
ところがこれが、クックック、、、名言集にならないところが”穂村弘”なのです。
彼はいいなぁ〜。
近所の電柱の地面すれすれに”中高年のパートナー紹介”の貼り紙を見ただけで、その紹介所に行ったら小さな宇宙人が出てきて、宇宙船に乗ってお茶を飲んでカラオケをして結婚するなんてことを想像してしまうのです。
だてにプチ引きこもりをしていたわけじゃないんですね。
常人ではない。
鍛え上げられたイマジネーションを感じます。
全般的に脱力系のお話なのですが、内容は詰まってますよ。
ちょっと長いけど引用させていただきます。
『言葉の世界において、ど真ん中にストレートを投げるのは簡単そうに見えて実は決してそうではない。
例えば、「好きだ愛している君を一生離さない」という愛の言葉はどうか。
ど真ん中のストレートといえるだろうか。
私にはそうは思えない。
これは直球というよりも単なる棒球に過ぎない。
魂の乗らない、すなわち球威のない棒球はあっさりと打ち返されてしまうだろう。
言葉が単なる棒球ではなく他者の心を貫くストレートになるためには、自己と世界の間に横たわる絶対的な亀裂を飛び越す必要がある。』
これなんて、穂村さんの短歌の魅力を自分で解説しているみたいです。
「あぁ、なるほど穂村さんの短歌には勢いがあるな、意外性があるな。 彼が一番大切にしていることはそこだったんだ。」と納得しました。
そう考えるとサー、世の中の言葉って、そのほとんどは魂のないパターン化されたものばかりだよね。
私もそうだもん。
考えてしゃべったり書いたりしているようで、結構、カセットテープの再生みたいなことばかり。
反省。
でもだからこそ、人は詩や短歌に心ひかれるんでしょうね。
ところで私も今年、忘れえぬ言葉に出会いました。
友人のカレー屋さんの店主、もちろんインド人、の誕生日にワインをもって食事に行きました。
ところがお客さんが少なかったせいか、肝心の店主は不在でした。
アルバイトの女性にそのワインを託したのですが、夜11時頃彼からお礼のメールが来ました。
「いるいるありがとう」
グッと来ました。
そのメール消すことができません。
はり・温灸治療院 楽居堂 IN 世田谷・経堂
http://www.chiryoin.jp