新年明けましておめでとうございます。

旧年中はお世話になりました。
個人的には子供ができて充実した一年でした。
治療に関しても、本の当たり年で、気づかれたかどうかわかりませんがマイナーチェンジを繰り返していました。
自分としては治療効果が上がっていると思います。
今年もたゆまず勉強して、変化を恐れず頑張っていく所存です。
さぁ、今年は何が起こるのだろう?
楽しみです。
では、今年もよろしくお願いします。
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記憶しておきたいこと。

妻が実家から帰ってきて1週間が過ぎました。
いつものように二人で静かに食卓をはさんでいると、この数か月に起きたことが全部夢だったんじゃないかと感じたりします。
伊勢丹にマタニティウェアを買いに行ったこと。
代官山にベビーカーを下見に行ったこと。
もうしばらくは外食できなくなるからと、お気に入りのお店に食事に行ったこと。
水天宮にお参りに行ったこと。
外出中に妊婦の体調が悪くなって、あわててタクシーつかまえたこと。
出産の日のバタバタ。
仕事を早めに終えて産婦人科に急いだこと。
赤ちゃんに初めて会って身が震えたこと。
これらのことは本当にわが身に起こったことなんだろうか、得意の妄想だったんじゃないかと、そんな思いが湧いてくるのです。
でも、背後のふすまをそっと開けて寝室を覗くと、そこには確かにミッフィーのベビー布団の上に無防備な格好をした身長50センチの娘がいるのです。
人は現実だと思っていたことが夢だったと知った時に、悲しみや絶望を知るのでしょう。
反対に夢かと思ったことが現実になった時には、、、、
私はこの自分が体感した思いをずっと忘れないようにしようと思います。
今後も色んなことが起こるでしょうが、この”幸福感”と言葉にしてしまうと陳腐になってしまうけど、静かに心の底から感じたものを忘れないでいると、きっとなんとかなるように思うのです。

東洋医学的婦人科系の証(タイプ)について

前回、しょうが灸を紹介しました。
実際のところしょうが灸は、主におへその下と仙骨に施し(打ち抜きの灸)、骨盤内の血流を改善することを目的とすることが多いです。
その効果として期待されているのは、当然のように婦人科系の治療です。
冷え性・生理痛・不妊症・子宮筋腫や内膜症、さらには貧血などです。
鍼灸師にとって、いろんな症状が絡んでいてどこから手を付けたらよいのか分からない患者さんを迎えたとき、女性ならまずは”子宮の治療から”というのは鉄則です。
男性にはない”生理”がありますから、どうしても血液不足や血液の鬱滞からくる症状が様々な反応を起こしているのです。
では、女性特有の疾患にはどのようなタイプ(証)があるのでしょう?
大まかにいうと以下の6つがあります。
1、陽気不足タイプ = エネルギー不足のこと 
 体に元気がなく体温が低い
 下痢や軟便、むくみが起きやすい
 食が細い
 風邪引きやすい
 手足が冷える
 月経前に不正出血がある
2、血虚タイプ = 血液の量が不足している(貧血)状態のこと
 顔色が悪い
 立ちくらみが起きやすい
 不眠がちで、夢をよく見る
 精神的に落ち込みやすい
 月経後に疲れやすい
3、気滞タイプ = 気の巡りが悪い状態のこと
 月経周期が不安定
 生理痛がひどい時とそうでもない時がある
 月経前におなかの張り、イライラ、頭痛などがおこりやすい(PMS
 ストレスに弱く情緒不安定
4、瘀血タイプ = 血液の巡りが悪い状態のこと
 生理痛がひどい
 月経前後は頭痛が起こる
 月経前におなかが張って硬くなる
 子宮筋腫子宮内膜症卵巣嚢腫・卵管癒着などがある
5、陰虚火旺タイプ = 体液が不足して潤いがない状態
 手のひら足の裏がほてる
 のぼせやすい
 のどが渇きやすい
 寝汗をよくかく
 肌が乾燥している
 便秘しやすい
6、痰湿タイプ = 余分な水分が溜まっている状態
 月経が遅れがち、または無月経
 太り気味
 むくみやすい
 卵巣嚢腫がある
 排卵期以外のおりものが多い
 ニキビができやすい
それぞれのタイプに応じて鍼灸治療法は違います。
イライラが強く出ている方には”肝”、血虚なら”脾”をメインに取穴します。
しかしどのタイプにせよ、骨盤内の血流を改善することは基本です。
生理痛・不妊症で鍼灸に通っていたら、いつのまにか”お肌がきれいになった”とか”肩こり治った”とか”血圧やコレステロール値が安定した”といった嬉しい副産物もあったりするものです。
この冬、試してみてはいかがですか?
はり・温灸治療院 楽居堂 IN 世田谷・経堂
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しょうが灸のすすめ

しょうが灸

お灸の効能についてここのところ続けて書いていますが、お灸にも色々なやり方があります。
一般に「灸をすえる」というと、多くの方が想像されるのは”熱い”肌を焼くお灸だと思います。
その方法は”透熱灸”と言います。
私たち鍼灸師が国家資格を取るために学ぶのはその方法です。
ですから資格を持っている者なら全員、うまい下手はありますが、透熱灸はできます。
私が楽居堂で多用しているのは”棒灸”といって、もぐさを紙に巻いて火をつけ、その火を肌に近づけるお灸です。

純もぐさ ロール式 10本入

純もぐさ ロール式 10本入

「火を近づける」なんて言うと、なんか怖い感じがしてしまいますね。
とはいっても別に火がボウボウと燃え盛っているわけではありません。
松明じゃないんですから。
私も棒灸をもってファイアーダンスなんかしません。
いたって地味〜なものです。
俗に”タバコ灸”といわれるくらいで、火といっても小さなものです。
どうでもいいけど、鍼灸学校に通っていたころ、葉巻みたいに棒灸の煙を吸ってみたことがあります。
ゲホゲホ咳が出で、のどが痛くなりました。
おまけにもぐさの粉が口に入って不快でした。
何事も経験だとは言うけれど、皆さんはいくら好奇心が強くても、お灸を吸うことはやめた方が良いですよ。
さて、今回私が紹介しつつお勧めしたいのは”しょうが灸”です。
しょうがを5ミリくらいの暑さに切って肌の上に置きます。
そしてその上にもぐさを載せるお灸です。
しょうがを間に挟むことで、熱の伝わりがじんわりと穏やかになることで体の深部まで温まります。
この方法は温める範囲が広いので背中とおなかへの刺激が主になります。
そのため、特に女性特有の疾患や慢性的な疾患によく使われます。
冷え性・貧血・生理痛や不妊治療、糖尿病や慢性腰痛のようにすぐに著効は期待できないけれど、継続することで体質を改善する目的にはとても効果があります。
楽居堂に来られているある方も、結婚して5年間子供が出来なかったのに、どこから聞いてきたのか旦那さんが毎日おなかへしょうが灸をしはじめたら、2か月後に妊娠されたそうです。
この方のように、しょうが灸は家庭でも出来ますし、おなかへの施灸は一人でも出来ますので本当にお勧めです。
まずはお近くの鍼灸院の門をたたいていちど体験し、やりかたを教えてもらってください。
とても気持ちのいいものですよ。
はり・温灸治療院 楽居堂 IN 世田谷・経堂
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鍼灸が不妊症治療に効果があるという記事いくつか

楽居堂にも妊娠しやすい体作りの目的で来院される方、多数いらっしゃいます。
新聞に掲載された”不妊症に対する鍼灸の有効性”についての記事をいくつか紹介させていただきます。
1.米国生殖医療学会の報告
体外受精の前後にハリ治療をすると、妊娠率が大幅に向上するという研究結果を、ドイツと中国の研究チームがまとめた。米生殖医療学会誌 2) に掲載された報告によると、同チームは、体外受精IVF)を受ける女性160人を2つのグループに分け、一方に体外受精の際、受精卵を子宮に戻す前後に鍼治療を実施。もう一方のグループには、鍼治療をせず通常の体外受精を行った結果、鍼治療グループの妊娠率が42.5%に上がり、通常治療の26.3%を大幅に上回った。体外受精の妊娠率は、高くても3割程度とされていた。繰返し治療を受けるカップルの精神的、金銭的な負担が問題になっている。妊娠率が向上する詳しい理由は分からないが、同学会のサンドラ・カーソン次期会長は「確実に検証されれば、妊娠率向上に役立つ手法になる可能性がある」と注目している。』
(2002年4月30日読売新聞より抜粋)
2.日本生殖医学会の報告
体外受精を5回以上行っても妊娠できなかった不妊症の女性114人に鍼治療を行ったところ、約4割にあたる49人が妊娠に至ったと、名古屋市の明生鍼灸(しんきゅう)院と明治鍼灸大の研究グループが10日、大阪市内で開かれている日本生殖医学会で報告した。49人のうち4人は自然妊娠だったほか、30人は治療後1回目の体外受精で妊娠に成功したという。報告された114人の治療実績は、1998年2月〜2006年6月に、同鍼灸院を訪ねた不妊患者のうち体外受精を5回以上行っても妊娠しなかった女性のもので、治療は、週1〜2回のペースで行われ、腹部や足などにある婦人科疾患に効果があるとされるツボを鍼で刺激した。』
(2006年11月10日 読売新聞より抜粋)
3.英国医師会誌に掲載された記事
体外受精IVF)を受ける女性が同時に鍼(はり)治療を受けると、妊娠の確率が65%高くなることが予備研究によって示され、英国医師会誌「British Medical Journal(BMJ)」オンライン版に2月7日掲載された。
 全カップルの約10〜15%が不妊に悩んでいるといい、体外で受精させた卵を子宮に移植するIVFを選ぶカップルも少なくない。鍼治療がIVFの成功率を高めるという証拠は、これまでにもいくつか示されていた。
 今回の研究は、米メリーランド大学医学部のEric Manheimer氏らが、IVFを受けた女性1,366人を対象とする7試験について検討したもの。いずれの試験も、胚移植から1日以内に鍼治療を受けた女性と、疑似鍼治療(sham acupuncture)を受けた女性または鍼治療を受けなかった女性とを比較していた。その結果、鍼治療を受けた女性は、そのほかの女性に比べて妊娠する確率が65%高かった。しかし、妊娠率がもともと高かった試験では鍼治療による効果は少なく、有意差はみられなかったという。「IVFの補助療法として鍼治療が有用と思われるが、裏付けにはさらに研究を重ねる必要がある」とManheimer氏は述べている。
 米国鍼医学会(AAMA)元会長のMarshall H. Sager博士は、「今回の結果は驚くには当たらず、鍼治療の利用でIVFの成功率を上げてきた自分自身の経験がこの研究によって裏付けられた。IVFを受ける女性は、鍼治療により成功率を上げることができる」 と述べている。』
(2009年2月7日 HealthDay Newsより抜粋)
引用ばかりで恐縮です。
しかし、これだけ鍼灸の有効性が認められているのに、世間で知られていないのはあまりにももったいないお話です。
もっと鍼灸のこと知っていただきたいと思い書いてみました。
はり・温灸治療院 楽居堂 IN 世田谷・経堂
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お灸はなぜ効くのか?

昨日、ヒートショックプロテインについて書きましたが、ところで私の本職である”お灸”はなぜ体に良いのか?
私が四谷にある鍼灸学校、「東京医療専門学校」に入学したのは、18年前のことです。
当時、鍼灸理論の授業で先生が話されたことは、大体こんな感じでした。
『お灸はまぎれもなく軽度のやけどである。 やけどをすると細胞が傷つき、たんぱく質が壊れ、ヒストトキシンという有害物質ができる。 俗に人体の3分の1をやけどすると死んでしまうというけれど、それはこのヒストトキシンが大量に血液中に流れるためのアナフィラキシーショックであって、間違っても皮膚呼吸ができないからなどではない。 そんな有害物質が出来てしまうのであれば、お灸は体に害ではないかと思うかもしれないけれど、これが生命の面白いところ。 人体にはホメオスターシス(恒常性)といって、ある一定の状態を維持する機能があるので、ヒストトキシンが適量生まれることによって、体は危機を感じて白血球・リンパ球・マクロファージといった免疫系に働く成分を”ドン”と増やし、それが血液によって全身に流れる。 よって様々な不定愁訴や慢性病を治すことができるし、日頃からお灸を受けていると体質改善もできる。』
私は入学すぐから怖い怖い先生のいる治療院で、年間休日10日ぐらい、夜5時間眠れたらいい方という状況で修業をしていたので、鍼灸学校の授業中は3年間ほとんど寝ていましたが、鍼灸理論の授業だけは興味があったので起きていました。
上記の授業の時は、とくに記憶に残っています。
ヒストトキシンという異種タンパクが刺激となる免疫系向上のほかにも、お灸を受けることで脳内モルヒネともいわれるエンドルフィンが発生し、それによって鎮痛効果があることも言われています。
赤血球の増加による造血作用も指摘されていますね。
つまり免疫力の向上、鎮痛作用、造血作用、ホルモン調整、血流改善、がお灸の期待できる効果といえましょう。
時間的には大体5日〜7日間いい状態が続きますが、10日もすると元通りになってしまう。
ゆえに病気を治す目的ならば、やはり理想は5日ごとに灸の治療を受けるのが効果的です。
体質改善を目的としても1週間間隔で治療院に足を運んでいただきたいものです。
定期的に灸を受けていると(鍼も同じですが)、いってみれば「わざと免疫抗体を作る」のですから”免疫系を鍛える”こと、あるいは体内に病原菌などが入ってきたときにすぐに対応できる”敏感な体”づくりになるのです。
歳を重ねると知らず知らず鈍感になってしまいます。 いろんな面で、、、
体の内側を敏感にする鍼灸治療は、究極のアンチエイジングといっても過言ではないでしょう。
はり・温灸治療院 楽居堂 IN 世田谷・経堂
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ヒートショックプロテインを引き出して健康に!

からだを温めると増える HSPが病気を必ず治す

からだを温めると増える HSPが病気を必ず治す

私は世間に疎いので、”ヒート(熱)ショック・プロテイン”という言葉が広く知られていることに、つい最近まで気が付きませんでした。
NHKの番組「ためしてガッテン」でも5月11日に放送されてます。
http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20110511.html
要は、熱の刺激を受けると細胞は「こりゃやばい!」と防衛機能を高めるんですね。
ためしてガッテン」のHPでも、以下のように書かれています。
『白血球の一種、T細胞をまずは35℃で培養してがん細胞と同じシャーレに入れてみました。すると、体当たりするようにしてがん細胞を攻撃。12時間で14%をやっつけました。
次に39℃までT細胞を温めて実験。すると、12時間でやっつけたがん細胞は44%と3倍以上にアップしたんです。
温めて熱ショックたんぱく質が増えるとどうして細胞を強化できるのかというと…「たんぱく質の修理屋」だからです。』
す、すごいですね、、、がん細胞までやっつけることができるなんて!
このヒートショックプロテインの効果を引き出すためには、なんてことない、体を温めればいいのです。
1、お風呂で温まる。
日本人は古来、温泉好きです。
42度のお風呂で10分。 41度なら15分。 40度なら20分、湯船で温まると効果が認められるとのことです。
2、スポーツを楽しむ。
実際、スポーツマンは怪我をしても回復が早いですよね。 プロレスラーなんか一般人と比較すると驚異的な回復力ですものね。
3、風邪をひいて熱を出す。
野口整体創始者野口晴哉先生はその著書「風邪の効用」のなかで、「風邪引いて熱を出せない鈍感な体」と表現されています。
つまり「何年も風邪をひいていない」と自慢げにしている人ほど大きな病気になっているというのです。
熱が引いた後、体全体がサッパリした感覚を味わうことってありますでしょ。
腰痛がなくなっていたり、耳鳴りが引いたり、、、
風邪がほかの疾患も一緒に持って行ってくれるのです。
「ああ、不思議だな」と思っていましたが、このヒートショックプロテイン理論によって説明できそうですね。
このヒートショックプロテインは刺激を受けて2日後に量的なピークを向かえ、5〜7日で元に戻ってしまうので、お風呂にせよジョギングにせよ週に2回をめどに実行することで、つねに高い状態を保つことができるそうです。
週に2回なら出来そうですね。
あ、そうそう、、、
ヒートショックプロテインを効果的に引き出す方法として、最善なのを書き忘れていました。
4、お灸を受ける!
はり・温灸治療院 楽居堂 IN 世田谷・経堂
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