東洋医学的婦人科系の証(タイプ)について

前回、しょうが灸を紹介しました。
実際のところしょうが灸は、主におへその下と仙骨に施し(打ち抜きの灸)、骨盤内の血流を改善することを目的とすることが多いです。
その効果として期待されているのは、当然のように婦人科系の治療です。
冷え性・生理痛・不妊症・子宮筋腫や内膜症、さらには貧血などです。
鍼灸師にとって、いろんな症状が絡んでいてどこから手を付けたらよいのか分からない患者さんを迎えたとき、女性ならまずは”子宮の治療から”というのは鉄則です。
男性にはない”生理”がありますから、どうしても血液不足や血液の鬱滞からくる症状が様々な反応を起こしているのです。
では、女性特有の疾患にはどのようなタイプ(証)があるのでしょう?
大まかにいうと以下の6つがあります。
1、陽気不足タイプ = エネルギー不足のこと 
 体に元気がなく体温が低い
 下痢や軟便、むくみが起きやすい
 食が細い
 風邪引きやすい
 手足が冷える
 月経前に不正出血がある
2、血虚タイプ = 血液の量が不足している(貧血)状態のこと
 顔色が悪い
 立ちくらみが起きやすい
 不眠がちで、夢をよく見る
 精神的に落ち込みやすい
 月経後に疲れやすい
3、気滞タイプ = 気の巡りが悪い状態のこと
 月経周期が不安定
 生理痛がひどい時とそうでもない時がある
 月経前におなかの張り、イライラ、頭痛などがおこりやすい(PMS
 ストレスに弱く情緒不安定
4、瘀血タイプ = 血液の巡りが悪い状態のこと
 生理痛がひどい
 月経前後は頭痛が起こる
 月経前におなかが張って硬くなる
 子宮筋腫子宮内膜症卵巣嚢腫・卵管癒着などがある
5、陰虚火旺タイプ = 体液が不足して潤いがない状態
 手のひら足の裏がほてる
 のぼせやすい
 のどが渇きやすい
 寝汗をよくかく
 肌が乾燥している
 便秘しやすい
6、痰湿タイプ = 余分な水分が溜まっている状態
 月経が遅れがち、または無月経
 太り気味
 むくみやすい
 卵巣嚢腫がある
 排卵期以外のおりものが多い
 ニキビができやすい
それぞれのタイプに応じて鍼灸治療法は違います。
イライラが強く出ている方には”肝”、血虚なら”脾”をメインに取穴します。
しかしどのタイプにせよ、骨盤内の血流を改善することは基本です。
生理痛・不妊症で鍼灸に通っていたら、いつのまにか”お肌がきれいになった”とか”肩こり治った”とか”血圧やコレステロール値が安定した”といった嬉しい副産物もあったりするものです。
この冬、試してみてはいかがですか?
はり・温灸治療院 楽居堂 IN 世田谷・経堂
http://www.chiryoin.jp