不眠症

3月7日放送の”ガイアの夜明け”で、睡眠障害が取り上げられていました。
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview060307.html
現代人の5人に1人が”睡眠に関する悩み”があるとのこと。
そして、快眠ビジネス市場は”1兆2000億円”にもなるとのこと。
確かに当院を訪れる方に、睡眠導入剤を服用されている方が「年々増えてきているな」と思っていました。
しかし、上記の数字には正直驚きました。

私は睡眠導入剤を使うことは、否定しません。
眠れないで悶々としているよりは、たとえお薬に頼っているとしても、ぐっすり眠った方が精神衛生上も良いと思います。
ただ、どんなお薬にも何らかの習慣性はあります。
歳いった人はともかく、若いうちから睡眠導入剤に頼り続けるのは考え物です。

中医学では、不眠を大まかに言うと4つのタイプに分けて考えます。
1、良質の血液が不足している場合
2、腎臓が疲れてしまっている場合
3、消化器(胃腸)が疲れてしまっている場合
4、肝臓が暴れている場合

それぞれ簡単に説明します。

1の”血液が不足している場合”というのは、貧血の人を想像してみてください。
心臓が”ドックン”と血液を送りますね。
血液成分が少ない人の場合は、1回の拍出で充分な栄養を送れないので、”ドクンドクン”と数でこなそうとします。
結果健康な人より心拍数が多くなります。
心臓がドキドキしているのだから、落ち着いて眠れるわけがありませんね。
2の”腎臓が疲れている場合”というのは、チョット中医学”独特”の説明を要します。
腎臓というのは「水」の性質を持っているのですね。
腎臓が疲れて、「水」のエネルギーが不足すると、今度は「火」の性質を持つ”心臓”が過剰に働いてしまう。
その結果、心臓が不必要にドキドキして”眠れなくなる”と言うのです。
3の”胃腸が疲れてしまっている場合”というのは、分かりやすいと思います。
胃が痛くて眠れるわけがありません。
4の”肝臓が暴れている場合”というのは、これもチョット説明が必要かな?
肝臓の働きと、”怒り”、”イライラ”は密接な繋がりがあります。
”怒り”の感情は肝臓を疲れさせ、肝臓が不調だと”イライラ”しやすくなります。
イライラしている人間が眠れるわけがありません。

東洋医学では、不眠の患者さんのタイプを診てから治療方針を決めていきます。
むやみと「運動をして体が疲れれば眠れるよ!」などど乱暴な発想はしません。
腎臓が疲れている人、血液が不足している人が過度の運動をしたら”逆効果”になってしまいます。
むしろ充分に休息を取ってあげることが重要になります。
消化に良い食べ物を充分に摂って、貧血を治してあげるつもりで養生するべきです。
「お腹一杯になれば自然と眠くなるよ!」などと言って過食すると、胃腸が疲れている人の場合これまた逆効果ですね。
逆に飲食の量は減らすことが重要です。
胃腸が元気になると、肩の力は抜けるのです。
元気になるために「あれもこれも」とサプリメントを摂ることより、「アレもいらないコレもいらない」と引き算をすることの方が重要なこともありますよ。
肝臓が暴れてしまっている人は、いかに”ストレスを発散するか”がポイントです。
運動やカラオケで発散できる人ならドンドンやりましょう。
内向的な性格の人ならば、私が前のブログで書いた”自己催眠法”はお奨めです。

すでにお薬を常用している方にとって、お薬を減らす(無くす)ことは大変だと思います。
しばらくは体のダルさ、頭痛などと戦わなくてはならないでしょう。
しかしずっと続くわけではありません。
いつかは必ず出口にたどり着くでしょう。
ちょっとだけ頑張ってください。
http://www.chiryoin.jp

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