お灸はなぜ効くのか?

昨日、ヒートショックプロテインについて書きましたが、ところで私の本職である”お灸”はなぜ体に良いのか?
私が四谷にある鍼灸学校、「東京医療専門学校」に入学したのは、18年前のことです。
当時、鍼灸理論の授業で先生が話されたことは、大体こんな感じでした。
『お灸はまぎれもなく軽度のやけどである。 やけどをすると細胞が傷つき、たんぱく質が壊れ、ヒストトキシンという有害物質ができる。 俗に人体の3分の1をやけどすると死んでしまうというけれど、それはこのヒストトキシンが大量に血液中に流れるためのアナフィラキシーショックであって、間違っても皮膚呼吸ができないからなどではない。 そんな有害物質が出来てしまうのであれば、お灸は体に害ではないかと思うかもしれないけれど、これが生命の面白いところ。 人体にはホメオスターシス(恒常性)といって、ある一定の状態を維持する機能があるので、ヒストトキシンが適量生まれることによって、体は危機を感じて白血球・リンパ球・マクロファージといった免疫系に働く成分を”ドン”と増やし、それが血液によって全身に流れる。 よって様々な不定愁訴や慢性病を治すことができるし、日頃からお灸を受けていると体質改善もできる。』
私は入学すぐから怖い怖い先生のいる治療院で、年間休日10日ぐらい、夜5時間眠れたらいい方という状況で修業をしていたので、鍼灸学校の授業中は3年間ほとんど寝ていましたが、鍼灸理論の授業だけは興味があったので起きていました。
上記の授業の時は、とくに記憶に残っています。
ヒストトキシンという異種タンパクが刺激となる免疫系向上のほかにも、お灸を受けることで脳内モルヒネともいわれるエンドルフィンが発生し、それによって鎮痛効果があることも言われています。
赤血球の増加による造血作用も指摘されていますね。
つまり免疫力の向上、鎮痛作用、造血作用、ホルモン調整、血流改善、がお灸の期待できる効果といえましょう。
時間的には大体5日〜7日間いい状態が続きますが、10日もすると元通りになってしまう。
ゆえに病気を治す目的ならば、やはり理想は5日ごとに灸の治療を受けるのが効果的です。
体質改善を目的としても1週間間隔で治療院に足を運んでいただきたいものです。
定期的に灸を受けていると(鍼も同じですが)、いってみれば「わざと免疫抗体を作る」のですから”免疫系を鍛える”こと、あるいは体内に病原菌などが入ってきたときにすぐに対応できる”敏感な体”づくりになるのです。
歳を重ねると知らず知らず鈍感になってしまいます。 いろんな面で、、、
体の内側を敏感にする鍼灸治療は、究極のアンチエイジングといっても過言ではないでしょう。
はり・温灸治療院 楽居堂 IN 世田谷・経堂
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