「若さって弾力ですから、、、」

前回のブログに「若さって弾力ですから、、、」って書いたら、その後その話題を振られることが多くってね。
そりゃ医学的に見たら、極論になるのかもしれないよ。
私だって「単純化しすぎているかな」とは思いますが、鍼灸師・マッサージ師・エステシャンなどの人様のお体を触る仕事をしているものならピンとくるはずです。
若さって弾力だと。
お年を召すと血圧は高くなります。
それはもう病気というよりは、単なる老化現象ですよね。
それだって血管の弾力がなくなるから起こる現象です。
はら、年取ると背が小さくなるなんてことも言うでしょ?
あれだって椎間板がすり減ってしまうから。
椎間板の弾力がなくなると、背骨全体の動きもこわばってしまう。
あ、そんなことよりも女性だったらお肌のことを例にとれば簡単に理解できますよね。
肌の弾力って、残酷なものですものね。
うつ伏せの患者さんの背骨を上から垂直方向に押してみたり、水平に動かしてみたりして、背骨の弾力は必ずチェックします。
その動きが平均的ならば、たとえ「固いな」と感じたとしても、あんがい問題なかったりします。
はい、その背骨の動きって、固ければダメというわけでもないのです。
もちろん柔らかければいいというものでもありません。
弾力と関節可動域は関係なくもないけど、必ずしも一致するものでもありません。
だって関節可動域が大きいからといって、その人が健康というわけでもないですからね。
バレエダンサーやヨガの先生が、けっこう鍼灸治療受けに来られること多いですからね。
関節が硬くてもタフで仕事のできる人を探すのも、さほど難しいことでもないでしょう。
ただ背骨を動かしてみたとき、往々にして固さにムラがあるものです。
その部分的な硬さが体にとってあまりよくない影響をもたらしているものですよ。
ボタンを一つ掛け違えたために、全体が狂ってしまうようなものです。
その弾力を失ってしまった部位を、早めに調整しておけば大事には至りません。
子供のころなんかはゴロゴロ寝返りを打っているうちに、自然に自力で治していたりするのですが、ストレスの多い大人になると睡眠時間も十分にとっていなかったりしちゃうし、いつのまにか固さが慢性化してしまいます。
水泳のような全身運動が体にいいというのは、日常生活の中で上手く動かすことができなくなった筋肉を刺激することになるからです。
その部分的な硬さが発生する機序は、またいろいろあります。
上記のような日常生活の中の筋肉の使い方に問題のある場合。
それは仕事上の姿勢とかさ、特定な筋肉ばかりを使っていることとかさ、そんなことですね。
また内臓の反応もあります。
胃に問題がある場合は、その裏側の筋肉が張るものですし、便秘症の方なんかは腰が硬くなったりします。
でも近年特に目立ってしまうのは、特定の部分というよりも、背骨の際全体が硬い人。
そんな方は神経的な疲労が強いんですよ。
そんな方に限って「自分はどこも悪くない」と、自らの不調に気がついてないようです。
困ったものです。
もうちょっと自分の体に関心持ちましょうよと言いたいです。
部分的な硬さからくる問題は、その掛け違えたところを緩めてあげると、全体に波及して改善されたりするものですが、背骨全体が弾力を失っている方は、なかなか時間がかかるものです。
とにかくゆっくりゆっくり、リラックスした状態を体に思い出してもらうことから始めるよりありません。
脱力ですね。
脱力を感じることができるようになると、今度は反対に自分がいかに緊張していたのかが分かるようになります。
鍼灸治療の究極の目的は、患者さんがリラックスできる体を作ることだと思っています。
そしてわずかな体の狂いにも気が付いて、自分である程度は対処できるような体作りのお手伝いをすること。
そんなことを考えています。
はり・温灸治療院 楽居堂 IN 世田谷・経堂
http://www.chiryoin.jp